ルールを複雑にした「とりかご」。パスとトラップだけでなく考える力も養う。

U10
ツイックラー
ツイックラー

サッカー・サポート・センターのツイックラーです。

今回は少し変わった「とりかご」の練習です。

ボールポジェッションの練習でよく行われる「とりかご」。とりかごは4人がボール保持でディフェンス2人の4vs2や3人ボール保持で1人がディフェンスの3vs1が基本的だと思います。そしてボールを獲られたりミスした人がディフェンスと交代するというルールで行われていると思います。ルールも単純で簡単に取り組むことができなおかつパス&コントロールの技術が上がるのでとても人気のある練習です。しかし同じ練習を続けていると惰性で取り組むことになりまたルールが単純なので脳への刺激が少し物足りない印象があります。

4vs2のとりかごをやっても少し選手への刺激が足りないなぁ。

グループでのディフェンスの連携を高めたい

指導歴9年、年間100人の幼児や小学生を指導するツイックラーが通常のとりかごよりも頭を使うボールポジェッションの練習を紹介します。今回のとりかごは8人以上で行う少し人数が多い練習になります。ディフェンスは3人でそのほかは円形になりパスを回してボールを保持していきます。通常のとりかごと異なるのはボールを獲られたりパスミスをした人だけがディフェンスと交代するのではなく、ミスした人の両隣の人を合わせた3人がディフェンス3人と総入れ替えします。その為、自分だけでなく誰がミスしたかでディフェンスにならなければいけないハラハラ感があり、獲られない様にパスを回すこととミスが出たら誰が入れ替わなければいけないかを考えながらプレーしないといけないので脳への刺激が強くなります。ボールポジェッションの練習でトラップやパスの技術を向上させながら攻守の切り替えの速さや判断力を養いレクレーション的に練習が行えます。また数的不利の状況でどうやって3人で追い込んでいくかのグループでのディフェンスの練習にもなります。

おすすめポイント
  • パス&コントロールの向上
  • グループでのディフェンスの練習
  • 複雑で脳の刺激が強いとりかご
  • レクレーション的なウォーミングアップ
評価コメント
トレーニングレベル
(★が多いほど高い)
★★★★☆小学生4年生以上(パスとトラップがある程度のレベルにある)
人数
(★が多いほど多い)
★★★☆☆8人~10人
待ち時間
(★が多いほど少ない)
★★★★☆ほぼない
応用
(★が多いほど高い)
★☆☆☆☆ほぼない

進め方

オーガナイズ

【図1】

【図2】

  • ディフェンス3人とそれ以外(A~G)に分かれる
  • 図1のようにA~Gが円形に並ぶ
  • 3人がディフェンス(黒)として円の中に入る
  • A~Gの誰か1人ボールを持つ(図1ではAがボールを持つ)
  • Aからパスを出したら、ディフェンスに獲られない様にパスを回す
  • ディフェンスは1本目のパスは獲らず2本目のパスから獲りに行く
  • A~Gは2タッチ以内でプレーする
  • 図2のようにディフェンス側にボールを触られたらディフェンス側の3人とボールを獲られた人とその両隣が入れ替わる(例:Gがミスしたら、GとGの両隣りのAとFがディフェンスと入れ替わる)
  • 入れ替わったらすぐに始める
  • ミスした場合も(トラップミスやパスミス、3タッチ以上)もミスした人とその両隣がディフェンス側と入れ替わる
変化を加える
  • ダイレクトパスのみ
  • リターンパス禁止
  • 2タッチ⇒ダイレクトパスの交互にパスを繋げる
  • 10本パスを繋げたら終了

必要な道具

  • ボール各1個

【補足】

走る、止まる、ドリブル・蹴るのサッカーに必要な技術を最大限は発揮するトレーニングシューズ着用を推奨します。トレーニングシューズ着用の利点は下記の記事を参照にしてください。

キーファクター

  • パスの正確性とパススピード
  • 足元のトラップ
  • フェイント(体の向き、キックフェイント、目線)
  • 準備(プレジャンプ、パワーポジション)
  • パスコースの限定
  • プレスのタイミング
  • ディフェンスのポジショニング
  • 判断
  • トランジション

応用

オーガナイズを変える応用はなく、プレーの制限をつけることで変化をつけます。例えばダイレクトパスだけにすると判断を速くしなくてはいけない、ツータッチ⇒ダイレクトパスを交互に繰り返すようにすると誰に出すかの判断だけでなくプレーの判断も必要になり、リターンパスを禁止にすると最も出しやすいパスコースがなくなるので選択肢が減った状態でプレーしなくてはいけなくなります。また勝利条件を付けることでゲーム性を持たせることができます。

獲得できるスキルとメリット

  • パスを正確に蹴る技術やスピードの速いパスを蹴る技術が向上する
  • 足元に止めるトラップがうまくなる
  • トラップからパスの動きが速くなる
  • 体の向きやフェイントで相手ディフェンスに読まれないパスができる様になる
  • パスコースの限定ができるようになる
  • プレスにいくタイミングがつかめるようになる
  • 集中力、判断力がつく
  • ゲーム性も高く、楽しみながらパス&コントロールの練習ができる

基本的にはパス&コントロールの練習であるとりかご。4vs2よりも大人数でより頭を使った(集中力と判断力)ゲーム性の高い練習になります。ボールを獲られた人だけが交代するのではなく、その両隣も一緒に交代するので誰がボールを獲られたかミスをしたかも集中してみていないと攻から守のトランジションの判断が遅れてしまいます。円形を維持したままのボール回しになるのでおのずと足元のトラップが多くなります。ディフェンスが3人いるのでボールを動かしたトラップは獲られる確率が高くなるので、足元にボールを止め素早くパスに移行できる技術が高くなります。ディフェンスのプレスの強さによってダイレクトパスなのかトラップするのかの判断もパスのタイミングも良くなります。ディフェンス側は2人カバーする人がいるのでパスコースが読まれてしまうとすぐに獲られてしまします。相手に読まれないパスが必要になるので体の向きや目線を使ったフェイントやキックフェイントなど相手に読まれない技術も高くなります。

ディフェンス側はパスコースが多いので3人でパスコースの限定やボールホルダーへのチャレンジ&カバーなどグループでのボールの奪い方が上手くなります。また3人でパスコースを消さないといけないのでポジショニングの意識も高くなります。プレスについても全部プレスにいくと体力も判断力も落ちてしまうので誰がどのタイミングでプレスにいくかの判断も良くなります。

注意点やデメリット

  • パスとトラップがある程度できないとうまくまわらない
  • ルールの理解ができないと止まってしまう
  • パスコースの限定やプレスができないとずーっとディフェンスのまま
  • 相手ディフェンスの動きをみることができないとすぐに獲られる
  • 自分がミスすると両隣もディフェンス側になるので、ミスが続くと両隣に恨まれる
  • 円形を維持しながら行うので動きながらのプレーはない
  • 人数が多くないとできない

前提としてはパスとトラップがそれなりのレベルにないと続けることができないので、見極めをしてから始めましょう。また攻守交替しないといけないのにしないなどルールを理解しないとぐちゃぐちゃになってしまいプレーを止めないといけなくなります。数的不利の状況でのディフェンスになるのである程度チャレンジ&カバーなどディフェンスの原則が理解できていないとパスを回され続けてしまいます。

チャレンジ&カバーの練習は下記の記事を参考にしてください。

ルール上自分がミスをしなくても隣がミスをするとディフェンスにならないといけません。なのでミスを続けてしまうと険悪なムードになることもあるのでよく雰囲気が悪くならない様に気をつけましょう。パス&コントロールの練習ではありますが、基本的にはポジションから動くことがないので動きながらのトラップやパスはほとんどなく、パスコースを作る動きなどもないので気をつけましょう。また人数が多くないとできない練習なので、チームのウォーミングアップや人数が揃っているスクール向けになると思います。

動きながらボールポジェッションする練習については下記の記事を参考にしてください。

指導ポイント

  • プレジャンプとパワーポジション
  • 足元のトラップ
  • 体の向きと視野の確保
  • パスのタイミング(ダイレクトパス、トラップしてパス)
  • 相手ディフェンスの動きをみる
  • 相手ディフェンスをだますパス(体の向き、目線、キックフェイントなど)
  • プレスのかけ方とパスコースの限定
  • ディフェンスのポジショニング

【準備(パワーポジションとプレジャンプ)】

パスはいつくるかはわかりません。また正確に足元にくることなんてほぼありません。そんなパスをしっかり受けるためには準備が大事です。パワーポジションをとりながらプレジャンプをすることでどんなパスにも反応できるように準備しましょう。特にダイレクトパスに反応するためにはパスがきた瞬間に準備していては間に合いません。ボールが動くたびに体の向きをとり直し常にパワーポジションとプレジャンプをしながらパスに備えて準備しましょう。

パワーポジションとプレジャンプについては下記の記事を参考にしてください。

ツイックラー
ツイックラー

プレジャンプやパワーポジションは自分で意識しないと持続できないので、声を掛け続けていきましょう。

【体の向きと足元のトラップ】

円形を維持しながらのボールポジェッションになるので基本的には足元のトラップになります。ディフェンスはトラップしてボールが離れた瞬間を狙っています。しかし足元にボールを止めれるとディフェンスはかわされたり、パスを出されるので奪いにいきけません。しっかり足元にボールを止めらる様にしていきましょう。ただ足元にボールを止めても次にパスが出さなくてはディフェンスに追い詰められます。次にパスができる様に体の向きをしっかりとった上で足元にボールを止め、素早くパスができる様にしましょう。

ツイックラー
ツイックラー

体の向きはボールポジェッションの練習では特に大事。習慣化できる様にしていきましょう。

【相手ディフェンスの動きをみてパス】

パスは味方の位置だけを把握するだけでは繋げることはできません。相手ディフェンスの位置とどこを狙っているかの予測ができないといけません。その為にはボールの動きだけを追いかけるのではなくボールと複数のパスコース、ディフェンスが同一視することが必要です。まずは視野が確保できるように体ん向きをとりディフェンスの動きや位置を把握しましょう。ディフェンスの位置や動きを把握してダイレクトパスなのかトラップしてパスなのか、より正確にだすのか、速いパスなのか判断してパスをするようにしましょう。

ツイックラー
ツイックラー

ボールポジェッションをするとツータッチでテンポが一定になってしまいます。同じテンポは相手に読まれやすいので気をつけましょう。

【相手にパスコースをばらさない】

ディフェンスはパスコースを限定しながら相手の体の向きや視線からどこにパスを出そうとしているかを予測してきます。パスを繋げるためには相手に予測させないことが必要です。対面パスのように相手にわかりやすいインサイドパス(体や軸足は相手に向ける)はすぐに読まれてしまいます。パスを繋ぐためには体の向きとは違った方向だったり、キックフェイント、視線を使ったフェイントを織り交ぜて、相手ディフェンスを迷わせることが必要です。デモンストレーションでいくつかのパターンを示してあげて良いフェイントを引き出してあげましょう。

ツイックラー
ツイックラー

ディフェンスはボールホルダーの仕草や姿勢など色々な情報を得て予測してきます。相手の予測を逆手にとるように駆け引きを楽しみましょう。

【グループでのボールの奪い方】

ディフェンス側は数的不利の状況でのディフェンスであり、多くのパスコースを3人でふさいでいかないといけません。3人がバラバラに動いてしまうとボールを奪えず、ただただボールを追いかけることだけになります。ディフェンスの基本はチャレンジ&カバーです。1人がボールホルダーにプレスにいき(チャレンジ)、残りの2人がパスをコースをふさぐようにポジショニングにする(カバー)ことでボールを奪いにいきます。しかし2人以上数的不利なので1人が複数のパスコースをカバーしないといけないので簡単に追い込むことができません。全てチャレンジにしにいくのではなく、3人でパスコースを限定しにいき、少しずつ追い込んでいきトラップミスやパスミス、相手の選択ミスを誘発させチャレンジしにいくようにしましょう。そしてグループでボールを奪いにいくカギはコミュニケーションをとることです。3人で動くと誰がチャレンジしにいくか、誰がどこのパスコースを限定するかなど迷いや譲り合いがおきます。お互いが声を掛け合うことでグループの方向性を合わせることができます。初めは何もアドバイスしないで様子をみてななかなかうまくいかない場合はどうしたらグループでスムーズに動けるようになるかを考えさせてみると良いでしょう。

ツイックラー
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グループでディフェンスはコミュニケーションをとらないとうまくいきません。声掛けなどコミュニケーションの大事さも認識できると良いですね。

まとめ

  • コミュニケーションをとりながらグループでボールを奪えるようになる
  • ディフェンスの動きをみてダイレクトパス、トラップの判断をする
  • 体の向き、視線、キックフェイントなどで相手に読まれない様にパスをする
  • ボールが移動する度にパワーポジションとプレジャンプをし準備すること
  • 1人がミスを続けると雰囲気がわるくなることもある
  • 動きながらのパス&コントロールがほとんどない
  • 8人以上必要なのでチームのウォーミングアップ向きの練習
  • ゲーム性もあり人数が揃えばレクレーション的にも行える
ツイックラー
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ダイレクトパスだけやツータッチのみなどボール保持側に色々制限を掛けて楽しくパス&コントロールとグループでボールを奪う練習をしていきましょう。enjoy football!!

声の掛け方や進め方などの指導方法は下記の記事を参考にしてください。

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