サッカー・サポート・センターのツイックラーです。
今回は縦パスのコントロールのトレーニングです。
バイエルンやレバークーゼン、バルセロナ、マンチェスターシティはパスを主体とした組み立てで何本もパスを繋いで得点をする観ていてとても美しく憧れてしまいます。しかしパスは回しているがなかなか前進できずパスを回しているうちに奪われて失点をするということがあると思います。ジュニアの年代でもパスを繋いでいても最後は個人のドリブルやロングボールを蹴って足が速い選手がシュートを決めるということが多いのではないでしょうか?
横や後ろにボールを回しているだけで前進できないなぁ
結局最後は遠くにボールを蹴っているだけだな…
前進するためには縦パスがカギになります。縦パスを入れることで相手のディフェンスラインを押し下げ後ろ向きにすることができます。味方は縦パスをきっかけに前に進むことができ、相手は戻りながらの守備になる為、力強く跳ね返すことができなくなります。その為セカンドボール(相手が跳ね返したボール)を奪いやすく2次、3次攻撃ができます。バイエルンやレバークーゼンの試合を欠かさず見ていますが、バイエルンやレバークーゼンは縦パスを入れるのが上手く相手陣地に追い込んで、奪わても直ぐに取り返し試合の3分の2以上相手陣地でプレーしていることほとんどです。
指導歴8年毎年100人以上指導しているツイックラーが縦パスを入れるタイミングと動き出しのタイミングを合わせてボールを受けるトレーニングを紹介します。オフェンス側が縦パスを入れればチャンスになりますがディフェンス側は入れればピンチになるあるいは奪えばチャンスになるので必ずディフェンス側は狙っています。その為、縦パスの難易度は高く受け手と出し手のタイミングが合わせないといけません。また受けた後、前を向けないと前進できないのでターンの技術も必要になります。このトレーニングは出し手と受け手のタイミングを合わせて後、受け手のターンを色々なパターン取り入れ、またリターンパスをして受け直すパターンもあります。ディフェンスラインから中盤やトップに入れるイメージ、バイタルエリアに縦パスを入れるイメージを持ちながらトレーニングできると思います。
相手の背後へのロングボールでもラインを下げさせることはできますが、ロングボールはGKに獲られたり強く跳ね返されたり、相手に奪われやすくなり継続して攻撃ができません。試合中に縦パスをたくさんいられる様にし、ボールを保持しながら前進し、相手陣地で攻撃できるようにしていきましょう。
評価 | コメント | |
トレーニングレベル | ★★★★☆ | 小学生4年生以上 |
人数 | ★★★☆☆ | 6~8人(人数に応じてオーガナイズを増やす) |
待ち時間 | ★★☆☆☆ | ほとんどないがミスが多いと待ち時間が長い |
応用 | ★★★★☆ | ターンの制限やターンの仕方などいろいろある |
進め方
オーガナイズ
- AとBに分かれて並ぶ
- Aの先頭がボールを持つ
- Bの先頭が赤コーンのグリッドに走って入る(①)
- AはBがグリッドに入るタイミングに合わせてパスを出す(②)
- Bはグリッド内でボールを止めターンをして次のBにパスをする(③)
- パスをしたらBに戻り後ろに並ぶ(④)
- Aの先頭が走ってグリッドに入る(⑤)
- Bが②と同じ様にパスを出しAは③と同じ様に次のAにパスをする
- パスを出したらAに戻り後ろに並ぶ
- 3~9を繰り返す
必要な道具
- ボール1個
- マーカー2個
- コーン4個
※コーンやマーカーは目印なればほかの物でも問題ないです。
【補足】
走る、止まる、ドリブル・蹴るのサッカーに必要な技術を最大限は発揮するトレーニングシューズ着用を推奨します。トレーニングシューズ着用の利点は下記の記事を参照にしてください。
キーファクター
- パスの質
- ファーストタッチの質
- 体の使い方
- ボールを受けるタイミング
- ボールを出すタイミング
応用
【パターン1】
- AとBに分かれて並ぶ
- Aの先頭がボールを持つ
- Bの先頭が赤コーンのグリッドに走って入る(①)
- AはBがグリッドに入るタイミングに合わせてパスを出す(②)
- Bはグリッド内でボールを止めグリッドの横(左右)から出て次のBにパスをする(③)
- パスをしたらBに戻り後ろに並ぶ(④)
- Aの先頭が走ってグリッドに入る(⑤)
- Bが②と同じ様にパスを出しAは③と同じ様に次のAにパスをする
- パスを出したらAに戻り後ろに並ぶ
- 3~9を繰り返す
【パターン2】
- AとBに分かれて並ぶ
- Aの先頭がボールを持つ
- Bの先頭が赤コーンのグリッドに走って入る(①)
- AはBがグリッドに入るタイミングに合わせてパスを出す(②)
- Bはグリッド内でボールを止めグリッドの上から出て次のBにパスをする(③)
- パスをしたらBに戻り後ろに並ぶ
- Aの先頭が走ってグリッドに入る(④)
- Bが②と同じ様にパスを出しAは③と同じ様に次のAにパスをする
- パスを出したらAに戻り後ろに並ぶ
- 3~9を繰り返す
【パターン3】
- AとBに分かれて並ぶ
- Aの先頭がボールを持つ
- Bの先頭が赤コーンのグリッドに走って入る(①)
- AはBがグリッドに入るタイミングに合わせてパスを出す(②)
- Bはグリッド内でボールをAにリターンパスをする(③)
- Bはグリッドの横(左右どちらか)から外に出て体の向きをつくる(④)
- AはBがグリッドの外で体の向きをとるタイミングでBにパスをする(⑤)
- Bはボールを受け次のBにパスをする(⑥)
- パスをしたらBに戻り後ろに並ぶ
- Aの先頭が走ってグリッドに入る
- Bが②⑤と同じ様にパスを出し、Aは③④⑤と同じ様に動いて次のAにパスをする
- パスを出したらAに戻り後ろに並ぶ
- 3~12を繰り返す
獲得できるスキルとメリット
- 動きながら縦パスをトラップする技術
- 前を向くトラップ
- 縦パスを入れるタイミング
- グリッドの出る場所によってトラップの置き場所をかえる
- パスをもらいに行くタイミング
- パスからの次の動きや前を向く体の使い方
- 使う道具が少ないのでオーガナイズを多く作れる
パスをいくら回しても縦パスを入れないと前進できません。逆に相手は縦パスを入れられると押し込まれてしまうのと、縦パスを奪うと勢いよく相手の陣地に入って行けるので縦パスを奪おうと狙っています。その為、受け手と出し手のタイミングが合わないとボールは通せず、またトラップも上手くやらないとボールを収められずまた前進するきっかけもつかめず、逆に相手のチャンスにしてしまいます。それだけ縦パスは重要で難しいのでしっかりトレーニングしないといけません。
このトレーニングは縦パスを受けるタイミングや出すタイミングを身につけ、トラップして前を向く基本的なものです。前を向くためには相手のプレッシャーがなければワンタッチで前を向く、相手のプレッシャーがあれば横にずらしながらインサイドあるいはアウトサイドでターン、相手から離れてからターンなど状況によって前を向く方法が異なります。この三つのパターンをグリッドの出る場所によって使い分け習得していきます。縦パスを入れる為には受けに行くタイミングと場所が大事です。パスの出し手は動き出しのタイミングと受ける場所に合わせて出す必要があるので、グリッド内でボールを受ける様にしてタイミングと場所を合わせる様にします。ワンタッチのターンやリターンパスをしてから幅をとる動きなど体の使い方を上手くしないと素早く動けないので体の使い方も学んでいきます。パス&コントロールのトレーニングはあまり道具を必要としないものが多いですがこのトレーニングも道具を使用しないで行えます。またオーガナイズも広く使用しないでできるので大人数でも可能なトレーニングです。
注意点やデメリット
- ボールを止める、パスをする難易度が高い
- ボールを止めらないと待ち時間だけが増える
- パスをまっすぐけれない、強くけれないと止める練習にならない
- 動きが理解できないとAとBの人数バランスが崩れたり、流れが止まる
- 受けに行くタイミングやパスを出すをタイミングを考えずに自分勝手にやってしまう
パスもグリッド内にボールを正確に強く出す必要があり、受け手もグリッド内でボールを止めてコントロールしないといけないのでなかなか難しいトレーニングになっています。またボール1つで行うのでボールを止められない、グリッド内にボールを入れることができない、受けた後のパスも上手くできないとただただ待ち時間が長くなって練習時間が長くなってしまうので注意が必要です。また動きが少しわかりにくいところがあるので人数のバランスが崩れてしまうことがあります。人数のバランスがくずれてきたら一度止めて調整しましょう。グリッド内でパスがくるまで待ち続けたり、相手がグリッド内で待っているのにパスを出さなかったりあるいは動き出しをしていないのにパスを出してしまうなど相手のことも観ず自分のタイミングでただただやり出してしまいます。縦パスは受け手の動き出しのタイミングと出し手のパスを出すタイミングを合わすことが大事なので一度止めてしっかり伝えましょう。
指導ポイント
- ボールを出すタイミングと受けに行くタイミング
- ボールの止め方(足元、移動に合わせて)
- 縦パスのスピードと正確性
- リターンパス後の幅のとり方(パターン3)
- パスを受ける前のプレジャンプ
【タイミング】
縦パスは攻撃の起点となるため、守備側は縦パスを入れられない様に常に狙っています。その為、ボールを出すタイミングと受けるタイミングを合わせないとなかなか通りません。また縦パスを奪われると一気に前に出られかなりのピンチになってしまいます。それぐらい重要であり難しいなのでこの出し手と受け手のタイミングはこのトレーニングの最重要ポイントです。初めにやらせると必ずと言っていいほど受け手がグリッド内でパスが出てくるのを待っている、出し手はグリッド内に入ってからゆっくりしたボールを出します。流れを把握させるために最初は良いですが、流れが把握できたと判断したらしっかり止めて指導しましょう。出し手はいつでも出せるボールの置き方と準備をし、受け手は出し手がボールを出せる準備ができているかを観て動き出すことが求められます。受け手が出し手の準備ができているかどうかの判断するためにアイコンタクト(目と目を合わせる)することが重要です。声を掛けることも大事ですが、声を掛けられた側が気づいていないことが多々あるのでアイコンタクトの方がお互いがちゃんと認識できているので効果的です。日常でも横断歩道を渡るときの相手の運転手が自分を認識できているかの見極めだったり、話をしているときに自分を観ているかで話を聞いているかの判断材料だったりと結構密接しているので活かしてみてください。
アイコンタクトはパスを繋ぐためには必要な要素なので習慣づけましょう!!
【ボールの止め方】
パス&コントロールで大事なのことはボールの止め方です。どんなボールでも上手く止めることができればパスのテンポも落ちず、ほぼ奪われることがないと思います。また出し手も強いボールでもずれてもボールを止めてくれると思えば安心してパスができます。ボールを受けるときは体の真正面が基本です。ボールの軌道に対して真正面に立ちインサイドでしっかり面を作りましょう。受ける足は地面につけず軸足で立ち足首を固定して力まずボールを受けましょう。難しいのは動きながらのコントロールです。グリッド内に走りこんでのコントロールしないといけないので自分のボールに向かって走るスピードと向かってくるボールのスピードを考えてボールを受けないといけません。ターンをする場合は瞬間的に止まってボールを受けます。パターン2やパターン4の様に自分の前にトラップするときは瞬間的にとまるかトラップする直前に少しジャンプして体を浮かしながら止めるのが良いです。
パスが横にずれたときは足を延ばして止めない様にしましましょう。まずステップして体の真正面に移動してボールを止めましょう。
【プレジャンプ】
ボールを止めるときに習慣化してほしいのが“プレジャンプ”です。体の使い方の記事にもありますが、ボールを受ける前にプレジャンプをすることでボールへの反応が良くなり、次の行動にも速くスムーズに動けます。プレジャンプをすることで余計な力が抜けトラップが柔らかくなります。ボールを止めてから素早く次の動きができる様になれば、相手からのプレスを交わしたり、プレスが来る前にパスすることが可能になります。このトレーニングでもグリッド内でターンをしたり、ワンタッチでグリッドの外に出てターンなどボールを止めた後の動きが色々あるのでプレジャンプを入れて素早く動けるようにしていきましょう。
プレジャンプについては下の記事を参考にしてください。
どんなパスにも反応できるようにプレジャンプして準備しましょう。
【パススピード】
縦パスは常に狙われているのでパススピードがないとなかなか通りません。パススピードが遅いパスは受け手はとても受けやすいですが、狙っている側も簡単に獲ることができリスクが高くなります。日頃のトレーニングからパススピードを速くする習慣をつける為にも、しっかりと指摘していきましょう。ただしパススピードを上げるだけで浮いたボールだったり、近い距離でシュートの様なボールを蹴る様なこともあるのであくまでも距離にあった足元に正確なボールを出すように注意しましょう。
パスは相手が受けやすい様に優しいボールを出しがちですが、日ごろからパススピードを出して受ける側の技術を向上させましょう。
まとめ
- 縦パスを受けるトレーニング
- トレーニング内容は難しいのでまずはパスとトラップができる様になってから
- 受け手の動き出すタイミングと出し手のパスを出すタイミングはアイコンタクト
- プレジャンプをしてトラップした後の動きを素早くする
- 縦パスを入れる為にはパススピードが重要なので速いパスを入れる様にする
- オーガナイズは少ない道具で数カ所つくることができるので大人数でも可能
ゲームでも縦パスを入れてどんどん前進していきましょう。
enjoy football!!
★選手への声の掛け方や接し方、指導方法について学びたい方は下記の記事を参考にしてください。
★スキル習得する練習メニューの作り方は下記の記事を参考にしてください。
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