サッカーのドリブル練習。駆け引きを楽しみながら突破する技術を身につける。

サッカーの楽しさの要素の1つである「駆け引き」。相手の予想を上回る様な動きや騙すような動き、相手を仕掛けた罠に誘導していくなど動きを観て瞬時に自分の考えた行動が上手くいくとすごく気持ちよいものです。しかし、この駆け引き身につけるにはたくさんの経験とチャレンジが必要になります。単純なドリブル練習ではボールコントロールを身につけるだけだし、1vs1で身につけようとしてもボールコントロールに必死になって駆け引きまで頭が回っていかないのでなかなか難しいです。

指導歴9年、年間100人の幼児や小学生を指導するツイックラーが駆け引きを身につける1vs1のドリブル練習に繋がる鬼ごっこを紹介します。

ゲートを通り抜ける鬼ごっこで逃げる方は前後2つのゲートを通り抜けなければいけません。捕まえる側は2つのゲートを通り抜ける前にタッチしないといけません。通り抜けるゲートが前後で2つあるので最初のゲートを通るところから駆け引きがあり、2つ通る為に相手の動きに対してどちらのゲートを突破するか駆け引きをしていく必要があります。

始めは鬼ごっこ形式で行いボールのストレスなくやれるので駆け引きに集中することができます。ある程度駆け引きがたくさん出てきたら1vs1のドリブル対決に変更しドリブルしながら駆け引きをすることができるかチャレンジしてみます。

駆け引きを身につける為にはゴールがなければいけません。かわり鬼やこおり鬼などの普通の鬼ごっこでは逃げることや追いかける為のコーディネーション能力は身につきますがゴールまで突破するためのコーディネーション能力やフェイント、ステップは身につきません。突破を目指す鬼ごっこにすることで駆け引きをたくさんチャレンジできより遊びの要素が強くなるので楽しみながら突破をする為のコーディネーション能力やフェイントを身につけることができます。同時に突破されない為のコーディネーション能力やステップも身についていきます。

駆け引きをしながらドリブルコントロールを向上させ実戦で役立つドリブル技術とディフェンス技術や個人戦戦術を身につける為に鬼ごっこと1vs1の両方を取り組んでみて下さい。

	評価	コメント
トレーニングレベル （★が多いほど高い）	★★☆☆☆	小学生以上。ルールの理解が少し難しい。
人数 （★が多いほど多い）	★★★☆☆	2~8人。
待ち時間 （★が多いほど少ない）	★★★★☆	さほど時間はかからない
バリエーション （★が多いほど高い）	★☆☆☆☆	バリエーションは少ない

進め方

オーガナイズ

【鬼ごっこ】

1. 赤マーカー（白）と黄色マーカー（黒）にわかれる
2. 指導者の合図でスタートする
3. 終わったら黒は赤マーカー、白は黄色マーカーに並ぶ
4. 1~3を繰り返す

●ルール

• 黒は黄色コーンor青コーンを通って、赤コーンor緑コーンを通ったら勝ち
• 白は赤コーンor緑コーンを通り黒をタッチしたら勝ち

1. 赤マーカー（白）と黄色マーカー（黒）にわかれる
2. 黒はボールを持つ
3. 指導者の合図で1vs1をスタートする
4. 終わったら黒は赤マーカー、白は黄色マーカーに並ぶ
5. 1~3を繰り返す

●ルール

• 黒はドリブルで黄色コーンor青コーンを通って、
  赤コーンor緑コーンを通ったら勝ち
• 白は赤コーンor緑コーンを通り黒のボールを奪って
  黄色コーンor青コーンをドリブル通過したら勝ち
• 白or黒が勝つまたはグリッドからボールが出たら終了

必要な道具

• ボール×2個以上
• マーカー×2個
• コーン×２個×4色

【補足】

★夏場に必要な道具

★冬場に必要な道具

キーファクター

• ディフェンスをかわすステップとフェイント
• コーディネーション能力
• 相手の動きを観察
• 駆け引き
• ドリブル技術　
• ボールを奪う個人戦術

応用

1. 赤マーカー（黒）と黄色マーカー（白）に分かれて均等に並ぶ
2. 指導者から黒にパスを出したら1vs1を始める
3. 点が決まるあるいはグリッドからボールが出たら終了
4. 終了したら黒は黄色マーカーに並び白は赤マーカーに並ぶ
5. ボールは指導者に戻す
6. 2~5を繰り返す

≪ルール≫

• 白はAのゴール、黒はBのゴールにシュートを決めたら勝ち
• ボールがグリッドの外にでたら引き分け
• ゴールが決まるあるいはグリッドの外に出たら終了
• シュートはセンターラインを越えてから

獲得できるスキルとメリット

鬼ごっこはコーディネーション能力を向上させるにうってつけの遊びです。サイドステップ、バックステップ、スタート、ストップなど様々な動きをするのでバランス能力や変換能力などコーディネーションの５つの能力が向上します。

★コーディネーションの詳しい説明は下記のHPを参照ください。

「コーディネーション能力」って知っていますか？

サッカー力アップにつながるコーディネーション能力について、大阪体育大学の三島隆章先生にお話をお聞きしました。

soccermama.jp

またコーディネーション能力だけでなく相手をだまためにフェイントやスピードに緩急をつけたりと駆け引きも上手になります。ボールを持って1vs1をするときでもボディフェイントや緩急をつけたりして駆け引きが上手くなっていきます。合わせてドリブルのコントロールも向上しフェイント織り交ぜたドリブルやステップでかわすことができる様になります。

ディフェンス側もドリブルの動きやフェイントに騙されない様に駆け引きや動きについていくコーディネーション能力が向上していきます。またボールを奪う為の個人戦術を身につけてボールを奪う技術も向上していきます。相手のドリブルをサイドに追い込むようにドリブルコースを限定し誘導したらブロックあるいは体を入れてボールを奪い攻撃に移行できるようになります。

遊びの要素が強いので試合前にリラックスして体を動かすことができ、ドリブルやディフェンスの確認ができるのでウォーミングアップやレクリエーションにも最適なオーガナイズです。

注意点やデメリット

ルールが少し難しく低学年の子は一回で覚えることができないことが多いです。一通り説明したらやりながら覚えていく形が良いと思います。駆け引きを楽しむことがこの練習のだいご味なので、ただただゲートを２つ通り過ぎるだけでは意味がなくなってしまいます。相手がどのように動いてくるかを観てどう動くかが駆け引きなので、いくつかパターンを見せて駆け引きする様に促していきましょう。

ボールを持って1vs1をする中で駆け引きをすることはボールを持っていない状態よりも難しいですがその中でも駆け引きをするようにしてほしいです。ただ駆け引きの前にドリブルではなくボールを蹴り出してしまうと駆け引きもできず、ドリブル練習にもならなくなってしまうので注意しましょう。またボールがない状態では駆け引きしてフェイントやステップを使って突破できていても、ボールを持つと目の前に相手だけに集中してボール扱いに必死になってしまい突破ができなくなってしまうことが良くあります。その際は無理にドリブルの1vs1は行わず鬼ごっこ形式だけにしても良いと思います。

★ボール扱いを向上させるためにおすすめの練習

指導ポイント

【ステップとフェイント】

1vs1の駆け引きを楽しむオーガナイズ。まずは駆け引きだけに集中できるようにボールなしで鬼ごっこ形式で駆け引きします。左右のステップで相手を動かしフェイントを入れることで相手の逆をとるようにしていきます。おそらく最初は駆け引きせずとにかく速く走って通り抜けることしか考えないと思います。良いステップやフェイントしている選手がいたらお手本になってもらったり、良いフェイントやステップワークを見せ共有していく様にしましょう。

ある程度ボールなしで駆け引きできる様になったらボールを持って1vs1形式で試してみましょう。ボールばっかり右や左に動かしてボールなしでのステップはほぼなくなると思います。ステップやフェイントは基本的にはボールに触りません。かわすときだけ触ります。ボールなしでのステップやフェイントを思い出させ、ボールがあるときでも同じようにステップやフェイントをかけられる様にデモンストレーションなどで共有しましょう。

【ドリブルコントロール】

駆け引きが上手くいってもドリブルコントロールが上手くいかないと成功できません。また駆け引きする前にコントロールミスをしてしまうと駆け引きもできません。まずはボールをしっかり見てコントロールしましょう。このゲームに勝つには最初のゲートを素早く入らないと9割方勝てませんので最初のコントロールは大事です。

ドリブル時は股下にボールを置きながら移動しステップやフェイントを入れてかわす様にしましょう。その際にボールを触り過ぎない様に注意しましょう。股下にボールを置いているときは相手を観て観察し、ボールを触るときはボールを観て触る様にしましょう。相手ばかりに集中してしまうとコントロールミスが起きるので注意しましょう。

【ディフェンスの個人戦術】

ディフェンスはプレス（寄せ）、シュートコースの限定、ドリブルコースの限定の3つのことをしながらボールを奪いに行きます。今回はドリブル通過がゴールなのでシュートコースの限定はないので2つのことをします。まずは相手の自由を奪う為にプレスを掛けに行きますが、相手が通るゲートと逆サイド（黒が黄色コーンに対して白が緑コーン）を通るとプレスが遅くなってしまいます。プレスを速く行くためには相手に対してどっちのゲートを通れば良いか問いかけてみましょう。

プレスを掛けたら相手との駆け引きになります。ディフェンス側はドリブルコースを限定し追い込みたいサイドに誘導していき誘導して方にきたら一気に奪いに行きます。逆に誘導していない限定したドリブルコースに入られてしまうとほぼ負けなので中途半端なプレスにならない様、しっかり寄せる様にしていきましょう。また限定する立ち位置がなかなかわからないことが多いのでデモンストレーションをして共有していきましょう。

まとめ

★選手への声の掛け方や接し方、指導方法について学びたい方は下記の記事を参考にしてください。

★スキル習得する練習メニューの作り方は下記の記事を参考にしてください。