サッカーのドリブル練習。認知と判断をともなったドリブルができるようにしよう。

ドリブル練習の代表的なものはコーンを等間隔においてのジグザグドリブルではないかと思います。しかしジグザグドリブルだと右へ左へと一定のリズムで同じ動き方を続けるだけになってしまいます。サッカー試合では等間隔で人が並ぶこともなければ、右→左→右と動くことでかわすことはできません。ドリブルを成功させるためにはどこに人がいるかや場所によって動き方を変える必要があります。

指導歴9年、年間100人の幼児や小学生を指導するツイックラーが認知や判断が必要なドリブル練習を紹介します。グリッド内に3色のマーカーをランダムにおいて各色のゲートを作ります。その3色のマーカーのゲートをドリブルで通過する練習です。指導者が指定した色のゲートだけを通るようにすることで複数のパータンのルートができ、そのルートを通る為にドリブルスピードの調整やボールの置き場所、アウトサイドやインサイドでかわしながら正確にボールを運べるようにしていきます。

指導者がランダムに色の指定を変えていくことで、色が変わる度にマーカーの場所や他の人の場所を把握し（認知）、どのルートを通るか（判断）しなくてはいけません。さらに使用する足やマーカーとマーカーの間を狭くしたり色を増やすことで色々な制約をすることで認知と判断を鍛えながらドリブル技術も向上させることができます。試合では常に認知と判断をしなてはいけないので、ある程度右や左にドリブルできる様になったら、ぜひ取り入れてみて状況にあった正確なドリブルができる様にしていきましょう。

	評価	コメント
トレーニングレベル （★が多いほど高い）	★★☆☆☆	小学生1年生以上。基本的なドリブルができればOK。
人数 （★が多いほど多い）	★★★☆☆	1~6人。グリッドの大きさやオーガナイズを複数作れば増やすことができる。
待ち時間 （★が多いほど少ない）	★★★★★	全員でやるので待ち時間なし
バリエーション （★が多いほど高い）	★★☆☆☆	色々な制約をつけたり、グリッドの大きさを変えて変化をつける。

進め方

オーガナイズ

1. グリッド内に3色のマーカーをランダムにおいて同じ色のゲートを各3ヶ所つくる
2. ボールを持ってグリッド内に入る
3. 指導者の合図でドリブルを始める
4. 指導者の指定した色のマーカーだけをドリブルで通過する
5. 指導者がランダムに色指定を変えていく

必要な道具

• ボール各1個
• マーカー×6個×3色　※コーンでも代用可

【補足】

走る、止まる、ドリブル・蹴るのサッカーに必要な技術を最大限は発揮するトレーニングシューズ着用を推奨します。トレーニングシューズ着用の利点は下記の記事を参照にしてください。

キーファクター

• ドリブルスピードのコントロール
• 足元でボールを運ぶ
• 認知⇒判断
• 周りを観る
• かわす（インサイド、アウトサイド）

応用

【1vs1　ドリブル通過】

1. 黄色マーカーと赤マーカーに分かれて並ぶ
2. 指導者からボールが出たら1vs1スタート
3. 終了したら赤マーカーから始めたら次は黄色マーカーに並ぶ
4. 黄色マーカーから始めたら次は赤マーカーに並ぶ
5. 2~4を繰り返す

【ルール】

• 4つのコーンの間のうち2つドリブル通過したら勝ち
• ドリブル通過はどちらから通過してもOK
• 同じコーンを２回通過はだめ
• 勝敗がついたらあるいはグリッドからボールが出たら終了

獲得できるスキルとメリット

認知と判断を含んだドリブル練習です。指導者が指示した内容を理解し、どこに何色があってグリッド内のどこに他の人がいるか把握しないと正確に指示された内容を実行することができません。その為、理解力が上がり周りを観ながらドリブル（ルックアップ）する習慣が身についていきます。そして認知⇒判断⇒実行するスピードが速くなっていきます。

人間は考えながら何かをするとミスが起きやすくなったり動きが遅くなります。しかしサッカーは常に考えながらプレーすることが求められます。指導者の指示された内容を理解し、どのようなするか考えながらプレーするので考えながらでも正確にボールコントロールすることが身についていきます。また狭いグリッド内にマーカーや人がいるためドリブルスピードのコントロールやいつでもかわしたり、向きを変えられるように足元でボールを運ぶ習慣が身についていきます。

グリッドを大きくしたり、マーカーの数や色の種類をふやすことで大勢で取り組むことができ、より判断を複雑にすることができ、難易度の調整ができる様になります。

注意点やデメリット

細かいボールコントロールがもとめられので、足元にボールを置いてドリブルができなかったり、ボールを大きく蹴ってドリブル、スピードを出し過ぎてしまうようなドリブルだとすぐにグリッドの外にでていったり、マーカーにぶつかったり、人とぶつかってしまいます。まずは基本的なドリブルができる様にしておきましょう。

★ドリブルの基本的な練習を紹介した記事です。

指導者が「赤」と指示出した時に指示内容を理解しきれなかったり、うまくコントロールできずめんどくさがって黄色や青を通って赤を通ってしまうことがあります。よけるドリブルも要素に含まれているので理解させたり、楽をしないで通るように注意していきましょう。また考えながらドリブルすると体が動かなくなりゆっくり歩きながらドリブルしてしまいます。その点も足を動かすよう促していきましょう。

この練習はマーカーが3色以上ないと成立しません。2色だとバリエーションが少なくあまり刺激を与えることができません。また数もそれなりに必要なので道具をそろえるのがデメリットの1つになります。また人数が多いと動くスペースが少なくなったり通るルートが込んでしまうので、人数によってグリッドの大きさやマーカーの数や感覚を調節する様にしましょう。

指導ポイント

【ボールコントロール】

障害物や人がたくさんある中で指定された色を通り抜けなければなりません。すぐにかわしたり、止まったりいろいろ対応できるように足元にボールを置きながらスピードも上げ過ぎない様に気をつけましょう。基本的にはドリブルするときは片方の足だけで使用しましょう。両足を交互に触りながらドリブルしてしまうとスピードのコントロールができず、アウトサイドでかわしたりターンができなくなってしまいます。

細かい動作が必要なるので足を細かく動かしながら足元にボールを置くようにドリブルをするようにしましょう。指示されていないマーカーや一緒にグリッド内でドリブルしている人をアウトサイドやインサイドをよけ、ターンを使いながら速く指示されているマーカーを通る様にしましょう。

【認知⇒判断⇒実行】

通常のドリブル練習と違って通る場所が色々と変わったり、使う足が変わるところです。指示された内容によって通る場所が変化し使う足が制限されてしまいます。またグリッド内には自分以外にも人がいるので他の人の状況も把握しながらドリブルをしていかないといけません。まず指示されたに内容の理解とマーカーの場所や他の人お場所を把握する様にしましょう。（認知）そしてどのようなルートを通ってそのために必要な技術を決める様にして（判断）、実行に移す様にしましょう。

最初は認知と判断に時間が掛かり、また考えながらだと体を動かすのを疎かにしてしまいます。しっかりとドリブルをしながら考える様に声を掛けていきましょう。

【周りを観る】

認知をする上で大事なことは周りを観ることです。周りにどんなものがあって人がどこにいるかがわからないと判断ができません。ドリブルをしながら顔を上げることや視野が確保できるような体の向きをとる様に促していきましょう。また周りの状況を認知できていてもおそらくどんな判断をしていいかを理解できていないことがあると思います。どうやって行ったら最短ルートになるかや人が集まっていない通りやすい場所を通るなど良い判断を共有できるようにしていきましょう。

まとめ

★選手への声の掛け方や接し方、指導方法について学びたい方は下記の記事を参考にしてください。

★スキル習得する練習メニューの作り方は下記の記事を参考にしてください。